ネガティブな感情と聞くと、きっと、どんよりドロドロしたものだと想像してしまうと思います。
こうした感情や思考は、誰にでもあるものではないでしょうか。
どんなに輝いて見える人にだってあるはずなのに、隣の芝生は青く見えるからか、つい、ネガティブ感情を悪いものと捉えて否定してしまう人も多いのではないでしょうか。
このことには以下に限らないかもしれませんが、いくつかの理由があるように思います。
- ポジティブな考えや感情とは違って快適なものではなく、避けたいと感じてしまう。
- 不快感や不安感などを引き起こしやすいから、蓋をしたくなる。
- 自分を無価値に感じさせたり、自尊心や能力を疑わせてしまうから辛い。
- そのような感情は、コントロールできないと感じてしまいやすいから面倒だったり怖い。
- ポジティブとは違ってイライラしやすく、不毛で生産性が低いと思えてしまうから。
…ですが、ネガティブな感情や思考は決して悪いものではないことを、今一度、見つめて忘れてはならないのではないでしょうか。
必ずしも、ポジティブばかりが正しいとは限らず、ポジハラ(ポジティブ・ハラスメント)という言葉も使われるようになっています。
ネガティブは実は悪いものでないどころか、そこにある深い価値を見つめ直すことも大事なものなのです。
この感情は私たちが人生について気づきや学びを得たり、成長するために存在している心の反応であるのに、それらを否定したり押し殺したりしてしまうと、より大きく膨らんだり、より支配的になる可能性があります。
否定して抑え込もうと蓋をするほどに、かえって過剰なストレスや不安を抱えてしまうことにもなってマイナス要因として悪化してしまうことだってあります。
ネガティブな感情や思考を肯定するということは、それらを受け入れて認めることで、それでも自分は大丈夫だ、自分を大切にしようと意識することから始まります。
それらを本当に受け止めきって初めて、演出や表面的ではない前向きさで行動につなげていくことができます。
哲学者のニーチェは人間の経験のすべてが価値があり、ネガティブな感情も私たちの人生に不可欠であると信じていました。
ネガティブな感情は私たちが人生について学び、成長するのを助け、私たちの強さを発揮するのに役立つものだと。
ニーチェは、私たちは自分のネガティブな考えを受け入れ、それらを成長の糧にするべきで、彼は、私たちが自分のネガティブな考えに立ち向かうことで、それらを克服し、より強く、より回復力のある人になることができると述べていました。
ニーチェの考えはネガティブな考えを否定せず、それらを受け入れることが重要であると提案している点で、現代の心理学の考えと一致しています。
現代の心理カウンセラーや心理学者は、本心のところでネガティブな考えを避けようとしないでください。
ネガティブな考えをそのまま認めて、それらに対するために時間を費やすことが重要である、本当の意味を…。
ネガティブな考えを拒んだり否定すると、それらはより大きく、より支配的になる可能性があります。
しかし、ネガティブな考えを認めて、そのために真摯に時間を費やすことで、それらを小さくしコントロールできるようになり、いずれ消化していきやすくなります。
ニーチェの考えは、ネガティブな考えは私たちの人生に価値があると提案している点で、希望に満ちています。
ネガティブな考えは、私たちが人生について学び、成長し、より強く、より回復力のある人になるのを助けることができます。
したがって、ネガティブな考えに直面した場合はジャッジしたり批判したり否定しないでください。受け入れて成長の糧にしてください。
ネガティブ思考とマイナス思考の違い
これらは、どちらも否定的な思考を指す言葉ですがニュアンスに違いがありますね。
「ネガティブ思考」のほうは物事を悲観的に捉えたり、悪い方に考えたりする思考です。
イメージ例としては、「この仕事は失敗するかもしれない」とか、「この人とはうまくいかないかもしれない」などという考え方です。
「マイナス思考」はネガティブ思考よりもさらに否定的で、悲観的な思考です。
イメージ例としては「この仕事は絶対に失敗する」とか、「この人とは絶対にうまくいかない」などという考え方です。
ネガティブ思考は物事を注意深く考えたり、リスクを回避したりするという意味では役立つこともあります。
しかし、マイナス思考は物事を悲観的に見すぎたり、行動を起こすのをためらったりする原因にもなります。
ネガティブ思考やマイナス思考に悩んでいる場合は、自分の思考パターンを客観的に見てネガティブな思考をポジティブに変えるようにすることが大切ですが、この記事で参考になる点がありましたら幸いです。
ネガティブな感情や思考を認め、受け入れるとは
ここで受け入れることとは、ネガティブな感情や思考を認めて抑圧しないことを意味します。
また、それらが現れる理由を理解しようとして、自分自身に辛抱強く思いやりを持つことを意味します。
ネガティブな感情や思考を認めて受け入れる、いくつかのヒントがあります。
- 自分に正直になりましょう。
ネガティブな感情や思考を感じていることを認めましょう。 - 自分の考えや感情を観察してください。
それらがどこから来たのか、なぜそれらを感じているのかを理解しようとしてください。 - 自分自身に対して辛抱強く、思いやりを持ってください。
ネガティブな感情や思考は、自分自身を責める理由ではありません。 - ネガティブな感情や思考に対するために時間を取ってください。
それらを否定したり押し殺したりしないでください。 - ネガティブな感情や思考に対処するのに役立つリソースを利用してください。
このように検索して探してみたり、真摯な傾聴ができる専門の人に聴いてもらったり、信頼できる友人や家族と話すことなど。
ネガティブな心を肯定することのメリット
ここでは、いくつかのメリットをご紹介します。
- ネガティブな感情や思考をコントロールできるようになる。
ネガティブな感情や思考を認めて受け入れることで、それらをコントロールできるようになり、ネガティブな感情や思考に振り回されなくなります。 - 前向きな行動につながる。
ネガティブな感情や思考を肯定することで、それらを消化したり克服して、本当の意味で前向きな行動につなげていきやすくなります。 - 自己肯定感が高まる。
ネガティブな感情や思考を肯定することで、自分自身を受け入れ、認めることができるようになります。 - ストレスや不安が軽減される。
ネガティブな感情や思考を否定したり、押し込んだりしていると、ストレスや不安につながります。
しかし、ネガティブな感情や思考を肯定することで、それらをコントロールし、ストレスや不安を軽減することができます。 - 人間関係が改善する。
ネガティブな感情や思考を認め、受け入れることで、周りの人に対してもオープンになり、人間関係が改善するようになります。
ネガティブな心を否定することのデメリット
ネガティブな感情や思考を否定することはメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があり、それらを否定し続けていると消化していく機会を逃してしまい、より大きくなったり、こじらせてしまう可能性があります。
また、ネガティブな感情や思考を否定すると、自己嫌悪や罪悪感につながる可能性があります。
ネガティブな感情や思考を否定することのデメリットとしては、以下のようなことが考えられます。
- ストレスや不安の増加
- うつ病や不安神経症などの発症リスクの増加
- 対人関係の問題
- 集中力や決断力の低下
- 自尊心の低下
- 自己嫌悪や罪悪感
ネガティブな感情や思考を感じている時は、それらを否定せず受け入れて対するための時間を自分に与えてください。
ネガティブな考えを前向きな行動に変えるステップ
ここでは、いくつかのステップをご紹介します。
- ネガティブな考えを認める。
ネガティブな考えが浮かんだら、まずはそれを認めることが大切です。
否定したり、押し込んだりせず、あるがままに受け入れましょう。
一人では難しい場合もあると思いますが、真摯な傾聴ができる専門の人に聴いてもらうというのもとても有効です。 - ネガティブ思考になってしまう原因を探る。
ネガティブな考えが浮かんだら、その原因を探ってみましょう。
原因がわかれば、対処策を考えやすくなります。 - 意識的に前向きな言葉に変換する。
ネガティブな考えを前向きな言葉に変換してみることで、ネガティブな囚われから意識的に変えてみます。
イメージ例としては「私はダメだ」という自動思考を、「私はまだ成長過程にある」という前向きな言葉にリフレームするイメージですね。 - ネガティブな考えを書き出す。
ネガティブな考えが頭の中でぐるぐる回っているときは、書き出すことで発散させましょう。
書き出すことから自分の気持ちを整理していき、客観的に考えることができます。 - ネガティブな考えをコントロールする。
ネガティブな考えがコントロールできないと感じたら、深呼吸をしたり、体を動かしたりしてみます。
一人では難しい場合もあると思いますが、真摯な傾聴ができる専門の人に聴いてもらうというのもとても有効です。 - 前向きな行動を起こす。
ネガティブな考えが出てきたら、前向きな行動を起こしてみましょう。
前向きな行動を起こすことで、ネガティブな考えを克服して前向きな気持ちに切り替えることを意識します。
ネガティブな考えを前向きにすることは容易ではないと思いますが、だからと言って、そのままでいるのも、とても辛いことです。
例え話です。
昔々、あるところにネガティブな考えを持つ少女がいました。
彼女はいつも、「私はダメだ…」、「私は充分じゃない…」、「…私は何もできない」と考えていました。
彼女のネガティブな考えは自分自身をとても悩ませて、どうしても幸せになることができません。
そんな、ある日、少女は森の中を歩いていると賢者の老人に出会いました。
老人は少女を見て、「どうしてそんなに悲しそう?」と尋ねました。
少女は老人に自分のネガティブな考えについて話しました。
老人は少女に、「ネガティブな考えは悪いものではありません。それはあなたを守るためにあるのです」と言いました。
「ネガティブな考え?」少女は混乱した。
「はい」と老人は言いました。「ネガティブな考えは、あなたを危険から守るためにあります。
あなたを間違いから守るためにもあります。
ネガティブな考えがあるということは、あなたが学び成長する機会があるということです」
少女は老人の言葉に驚きました。
彼女はネガティブな考えを悪いものだと思っていましたが、老人の話を聞くと、ネガティブな考えも役に立つものなんだと気づきました。
それから少女は老人に、「ネガティブな考えを肯定する方法を知りたい」と言いました。
老人は少女に、「ネガティブな考えを認めることから始めましょう。
ネガティブな考えが浮かんだら、それを否定したり、押し込んだりせず、あるがままに受け入れましょう。
次に、ネガティブな考えの原因を探ります。ネガティブな考えの原因がわかれば、対処策を考えやすくなります。
最後に、ネガティブな考えを前向きな言葉に変換します。
ネガティブな考えを前向きな言葉に変換することで、ネガティブな考えを克服しやすくなります」と言いました。
少女は老人の言葉を聞いて、ネガティブな考えを肯定する方法を学びました。
彼女はネガティブな考えを認め、ネガティブな考えの原因を探し、ネガティブな考えを前向きな言葉に変換しました。
そうしていきながら段々とですが、彼女はネガティブな考えに振り回されることなく、幸せに生きることができるようになりました。
ネガティブ感情を肯定するために人気の書籍
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- 『ネガティブ思考こそ最高のスキル』オリバー・バークマン (著)、下 隆全 (翻訳)
- 『ネガティブ思考の成功法則: ネガティブでもうまくいく、ポジティブになろうとするな!』澤村夕 (著)
- 『ホワイトアウト・イン: ー 言葉のカケラのメモ ー』白空(はくう) (著)
これらの本はすべて、ネガティブな感情や思考が悪いものではないことを教えてくれて対処するためのヒントやテクニックなどを提供しています。