希望を見出すことは、なぜ大事なのか?
「今さら、そんなこと当たり前じゃないか」と思われるようなことですが、人の感情は理屈では割り切れませんので、あえて記していきます。
どんなに強い人であったとしても仕事や人間関係のこと、経済や健康のことなど、あらゆることで困難を感じたり、希望を見失ったり、はるか遠くに感じてしまうようなことがあるかもしれません。
希望がないと感じているときは、表面上はどのように取り繕っていたとしても内心では感情に呑まれたり圧倒されたり、前進する方法がわからないように感じてしまい無力感や空虚感に包まれていたっておかしくありません。
困難や失敗は、人生の中での試練や挫折といった極めて厳しい状況と言えて、例えば、以下のような痛みを感じることかもしれません。
- 激しい困難: intense adversity
- 壮絶な失敗: devastating failure
- 破滅的な挫折: catastrophic setback
- 過酷な試練: grueling ordeal
- 絶望的な困難: despairing adversity
- 完全な崩壊: complete collapse
- 無残な失敗: merciless failure
- 打ちのめされる挫折: crushing setback
- 絶対的な苦境: absolute hardship
- 痛ましい敗北: agonizing defeat
これらの表現は困難や失敗が非常に厳しい、破壊的な要素を含んでいることを示しますが、人生において困難や失敗があることは哀しいことに自然なことでもあり、それらを乗り越えることで成長や学びが生まれることも忘れずに考えていきたいものです。
燃え尽き症候群(バーンアウト)については、こちらのページでまとめていきます。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。
(現代語訳)
流れる川の水は、絶えず流れており、同じ水は二度と流れてこない。
淀みに浮かぶ泡は、一瞬にして消え、またすぐに現れる。
世の中にある人や家も、また同じように、常に移り変わり、変化している。
この文章は、鎌倉時代の僧侶・鴨長明が書いた随筆「方丈記」の有名な冒頭部分で「世の中は移り変わりが激しく、人はいつまでも同じではない」ということを説いています。
現代でも人生の教訓として受け継がれていますが、人生の無常を悟らせる言葉として多くの人々に愛されていますが、ただのネガティブな言葉ではないと思います。
私たちに人生は有限であり大切に生きるべきであり、物事は常に変化し、変化に対応していくことが大切であることを教えてくれます。
人生は常に変化しています。いつまでも同じ状況は続きません。だからこそ、新しいことに挑戦し、変化を受け入れることの大切さがあります。
今さらながら希望を見出すことは人生において非常に重要であることは、誰もが分かっていることだと思います。
もし、希望を持つことを諦めてしまったら状況を何も変えようとしなくなってしまったり、新しい施策を試みたり、目標を達成するための意欲がなくなる影響だって懸念されます。
そうすると人生で満足感や充実感を得られなくなっていって、そのマイナス影響が不安の増加・意欲の低下・孤立感の深刻化などのメンタルヘルス面で軽視できない問題につながってしまうケースもあるでしょう。
同時に自分自身の健康や人間関係、経済的な状態などにおいて問題を発生させて増加させてしまう恐れも考えられます。
希望を持つことは、打ちのめされるほどの挫折や失敗、喪失、困難で試練な時期があったとしても…それでも乗り越えて大切なものを守るために重要なものです。
つまり希望は、人生に意味と生きる目的を与えるためのエネルギーということなど、重々承知かと思います。
大切なものを守るために、今一度、小さな一歩からでも希望を見出すための時間と労力を費やすことを考えてみていただけるでしょうか?
まずは、ここでは極シンプルなことを記して、次回からの別記事では『希望を見出すプロセス – 自己探求から成果の評価まで』として、もっと具体的に掘り下げていきます。
希望を見出すためのシンプルな7つのヒント
上記のようなことは既に知っているよという方も多いかと思いますが、さっと見てセルフチェックするために使っていただければと思います。
困難な状態から希望を見出していくこと難しいかもしれませんが、大切なものを守っていただくために…。
大切なものとは、愛してやまない存在であったり、自分自身であったり、想いやビジョンなどであったり、人によって様々だと思いますが、ご自身がもっとも価値を感じているものですね。
自分の感情を認める。
希望がないと感じてしまっているときは、そういった自分の感情をできる限り真正面から認めることが大事です。
別記事の『ネガティブな感情や思考を認め、受け入れるとは』でも触れましたが、ここで否定したり抑圧などしたりしないでください。
自分の気持ちを認めることから、段々と本当の対処を始めることが出来るようになっていくからです。
自分の気持ちを認める方法は様々考えられますが、すぐに出来ることで言えば誰にも見せない日記をつけることもセルフ傾聴のようになり、私は有効かと思っています。
他には可能であれば信頼できる人に話すことが出来れば、なお良いかもしれませんが、ここは注意が必要で本当に話して大丈夫な相手かどうかを見極める必要があります。
真摯に聴いてくれる相手に話す。
あなたのことを気にかけて心からサポートしてくれる相手に話せるならば、それは希望を見出していくために、とても重要と言えます。
例えば、あなたが心から安心できるパートナー・本当に気が許せる友人・ご家族・セラピスト、または信頼できる第三者かもしれません。
「話すことは手離すこと」とも言われるように、トンネルから抜け出して客観的に捉えられるようになるためにも大事な心の働きに作用します。
ただし、いずれの場合も真摯な傾聴について、よくよく分かっている相手であることが重要で、それ以外の場合は傷口に塩を塗られるような危険性もあるので盲信せずに注意が必要です。
自分がコントロールできることに集中する。
自分の人生でコントロール出来ないことは沢山あるかもしれませんが、コントロール出来ることも多くあるはずです。
一例としては…
- 自分の考え方や行動
- 自分の人生に費やす時間とエネルギー
- 自分の目標と夢
- 自分の健康と幸福感
- 自分との関係性
- 自分の学びと成長
- 自分の周りの世界への貢献(GIVE)
- ……
これらが考えられるでしょうか?
コントロールできないことを心配しても仕方ないとして、まず、自分がコントロール出来ることにフォーカスして集中していく動きから希望を取り戻していきます。
自分の夢や目標は本物か見直す。
夢や目標を改めて見直すことは希望を見出すことに直結しやすいですが、それらは本物であることが大事だと思います。
達成したいことを書き出し、それに向かって努力していくとしても、それは本当に叶えたいことですか?
目標は、あなたに方向性と目的を与えてモチベーションの持続に役立ちそうですが、それはなぜ、何のために行ないますか?
ニーチェの哲学は複雑で多面的なものですが、希望と目的の重要性についての彼の考えは、今日でも多くの人々に影響を与え続けています。 ニーチェの著作はしばしば暗くて悲観的であると解釈されることもあるようですが、彼はまた希望と目的の重要性についても書いています。 彼は、人生はしばしば困難で苦痛なものでも価値があり意味のあるものと信じて、私たちは自分の人生に意味を見出すために、自分の夢や目標に焦点を当てるべきだと主張しました。 同時に、私たちは自分の人生を自分の条件で生きるべきだと述べて、私たちは他人の期待に屈したり、私たちが望んでいないことをしたりすべきではなく、自分の幸せを追求して、自分にとって意味のあることをすべきだと。 そのために私たちは、常に新しいことに挑戦して快適なゾーンから一歩踏み出して成長・変化し、学び続けていく重要性… 人生を無駄にせず最大限に生きるために常に希望を見出して、夢を見るべきだとニーチェは述べています。 たとえ、どんなに状況が悪くても、私たちは常に良いことを期待して希望を捨てずに、希望を生き続けるべきです。
小さな一歩を踏み出す。
希望がない・とても遠いと感じているときは、一足飛びに大きなことを成し遂げようとしないでください。
小さな一歩を踏み出し、少しずつ進んでください。
小さな一歩を踏み出すことで、自信と達成感を得ることができます。
ここでは極シンプルなことを記していますが、次回からの別記事では『希望を見出すプロセス – 自己探求から成果の評価まで』として、ステップごとに具体的に掘り下げていきます。
大切なものを大切にする。
そのために、まずはご自身を大切にしていただきたいと思います。
心落ち着く音楽をかけたり、充分な睡眠や健康的な食事をとって適度な運動をしてください。
まず自分を労わって大切にすることで、精神的・身体的に元気さを取り戻して思考と希望を取り戻していきます。
何より、自分自身が本当にどうしたいか…難しいと感じることも多々あるかもしれませんが、心の声に耳を傾けるようにしていきながら、そのためにはどうしたらいいか、少しずつでも考えていいただければ幸甚です。
たとえ一気に一足飛びにはいかなくても中長期プランなどに分解して考えみるなど、プランニングも重要なところと思います。
支援を求めることも恐れない。
希望がないと感じている場合は、真摯に対応してくれる相手に支援を求めることを恐れないでください。
真摯に応じてくれる相手ならば、あなたの感情に対応して、希望を見出すための心の伴走者になることができます。
もし、あなたが希望がないと感じている場合は、支援を求めることも恐れないでください。
あなたは一人ではなく、希望を見つけるのを手伝ってくれる人は実はたくさんいて、もし、いないと思っていても探すことから始めることも、また希望と言えます。
次回からの別記事では『希望を見出すプロセス – 自己探求から成果の評価まで』として、もっと具体的に掘り下げていきます。
書籍のご紹介
- 『希望はいつも当たり前の言葉で語られる』 (著:白井明大)
ぼくにとっての希望とは、高く遠く見上げるような何か立派なお題目ではなく、
今日を生きるための知恵や、明日までどうにか持ちこたえるためのやさしさだった。
そんな希望は、時に誰かがくれた言葉という姿で、ぼくの前に現れた。【中略】
ここにあるのは、ぼくがすったもんだのさなかをともにくぐり抜けてきた、現場叩き上げの言葉ばかりだ。
そんな血の通った肉声が、真っ暗闇に囲まれたぼくのそばでずっと希望を灯し続けてくれた。(本書より) - 『希望の力 くじけない、あきらめない心』 (著:フジコ・ヘミング)
お金がなくて、ひとりぼっちでもピアノと夢があったから負けなかった。
天才といわれながらも、数奇な運命に翻弄された奇跡のピアニスト。なぜ彼女は絶望しなかったのか? - 『反応しない練習』 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」(著:草薙龍瞬)
誰かの言葉にすぐ反応。SNS、ツイッター、ネット記事に常に反応……毎日、ムダな「反応」をしていませんか?
すべての「苦しみ」は、自分が「反応する」ことから始まっています。それを理解することが、悩みを解決する第一歩です。 - 『信念に生きる――ネルソン・マンデラの行動哲学』 (著:リチャード・ステンゲル)
何に人生を賭すか――。
大統領就任の歴史的瞬間に立ち会い、人生と勇気について語り合い、寝食を共にした2年間。
書き綴った12万語の日記から生まれた、タイム誌編集長によるマンデラ珠玉の人生論。 - 『絶望から希望へ〜悩める若者と哲学者の”幸福”をめぐる対話』
(著:岸見 一郎 ミリオンセラー『嫌われる勇気』著者)
今を、この先を、「生きるのが苦しい」と感じている全ての人へ――。
つらい仕事・悪政・気候変動・経済危機・新型コロナ・対人問題…手に負えない問題だらけでも未来があるのは不幸じゃない。
「自分の手ではどうにもならないこと」に絶望せず、自分の人生を幸せに生きるための超実践的な幸福論
これらの書籍は様々な視点を提供してくれるとともに、あなたにとって希望とは、幸福とは何か、希望や幸福をどのようにして見いだすことができるのかについて考えを深めるのに、きっと役立つのではないでしょうか。