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「防衛機制」──無意識が仕掛ける心のバリアとは?

「なんであの人、あんなに頑固なんだろう?」
「失敗したのに、まるで他人事みたいに笑ってる……?」
「え、いやいや……私、全然怒ってないし!(怒)」

こんな場面、身の回りで見たり、もしかすると自分自身が経験したことがあるかもしれません。実はこれ、すべて心理学でいう「防衛機制」が関係している可能性があります。

防衛機制とは、フロイトが提唱した概念で、自分の心を守るために無意識が働かせる心理的な仕組みのこと。シンプルに言えば、ストレスや不安、葛藤から自分を守るために、心が勝手に「防御反応」を発動するわけです。

でも、この防衛機制、時には役に立つけど、行き過ぎると問題にもなりかねない。今回は、そんな「防衛機制」のリアルな姿を、身近なエピソードを交えながら解説していきます!


1.否認(Denial)──「そんなはずない!」

これは、都合の悪い現実を無意識のうちに認めないという防衛機制。

▶エピソード:「俺は大丈夫」からの悲劇

Aさん(30代・男性)は、仕事が忙しすぎて体調が悪化していた。でも彼は「まあ、大したことない」と放置。奥さんに「病院行ったほうがいいよ」と言われても、「ただの疲れだから」と聞く耳を持たなかった。

しかし、ある日突然、会社で倒れて緊急搬送。診断は「過労による心臓の異常」。
「もっと早く病院に行っておけば……」と後悔しても後の祭り。

否認は、一時的には心を楽にしてくれるけど、問題を先送りにすると後々もっと大変なことになる。「現実を受け入れる勇気」も大切ですね。


2.合理化(Rationalization)──「仕方なかったんだよ」

これは、自分の行動や結果を、もっともらしい理由をつけて正当化すること。

▶エピソード:「本気出してないだけ」

大学受験に落ちたB君(18歳)。本当はすごく悔しいのに、友達には「俺、本気で勉強してなかったし」「〇〇大学なんて、行かなくて正解だったわ」と強がる。

でも、家に帰ると、一人で布団にくるまって泣いていた……

「努力したのに結果が出なかった」ことを受け入れるのは辛い。だから、「本気を出してなかった」と思い込むことで、プライドを守ろうとする。でも、この合理化に頼りすぎると、「本気でやること」から逃げ続けてしまうことも……。


3.投影(Projection)──「アイツ、ほんとにムカつく!」

これは、自分の認めたくない感情や欠点を、他人に投影すること。

▶エピソード:「あの人、マジで意地悪!」

Cさん(25歳・女性)は、新しい職場で上司に注意されることが多かった。でも彼女は、「この人、私のこと嫌いなんだ!」と思い込んでいた。

でも実は、その上司はみんなに同じように指導していた。つまり、「嫌われている」と感じたのは、Cさん自身が「自信がない」という不安を抱えていたからだった。

投影をしてしまうと、人間関係が悪化することもある。自分の感情と向き合うことで、見えてくるものもあるかもしれません。


4.抑圧(Repression)──「そんなこと、覚えてない」

これは、受け入れがたい記憶や感情を、意識の奥深くに押し込めること。

▶エピソード:「忘れていたはずなのに……」

Dさん(28歳・男性)は、小さい頃に犬に噛まれたことがあった。でも、そんな記憶はすっかり忘れていた。

ところが、友達が「犬を飼おう」と言い出した途端、急に不安になり、「いや、犬って怖くない?」と否定的に。

忘れたと思っていた過去の記憶が、ふとした瞬間に影響を与えていたのだ。


5.反動形成(Reaction Formation)──「好きの反対は無関心、じゃない」

これは、本当の気持ちと真逆の態度を取ること

▶エピソード:「あんたなんか大嫌い!」

Eさん(20歳・女性)は、ずっと片思いしていた相手がいた。でも、周りには「アイツ、全然タイプじゃないし!」と強がっていた。

しかし、その相手が別の人と付き合ったと知った瞬間、「なんでこんなにショックなの……?」と気づく。

好きだからこそ、素直になれない。まさにツンデレの正体は、この防衛機制かもしれませんね。


6.退行(Regression)──「もうイヤだ、全部投げ出したい!」

これは、ストレスに耐えられなくなり、子どもっぽい行動をとること。

▶エピソード:「もう知らない!」

社会人3年目のF君(26歳)は、大きなミスをして上司に怒られた。すると、急にやる気をなくし、「もう知らん、俺なんか何やってもダメだ!」とふてくされてしまった。

これは、精神的な負荷に耐えられなくなり、子どものような防衛反応が出てしまった例。大人でも、追い詰められるとこうなることがあるんです。


7.昇華(Sublimation)──「負のエネルギーをプラスに変える」

これは、ネガティブな感情を、社会的に望ましい形に変換すること。

▶エピソード:「失恋からの大逆転」

Gさん(32歳・男性)は、長年付き合った彼女に振られた。落ち込んだが、「このままじゃダメだ!」と奮起し、仕事に全力投球。結果、昇進し、年収もアップ。

「フラれたおかげで、今の自分がある」と笑えるようになった。

これは、負の感情を建設的に使った良い例。


あなたの心も「防衛機制」を使っているかも?

「私はそんなことしない!」と思っても、それこそが「否認」かもしれません(笑)。

自分の心を守ることも大事。でも、気づくことで、成長への第一歩が踏み出せるかもしれません。

あなたは、どの防衛機制を使っていますか?

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合同会社 実践マーケティングセンターの村田敦(むらたつとむ)です。
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