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母と一緒に暮らし始めたけれど

 

お互いに干渉し合わない距離感や

良好な関係に変化する可能性などを

持てないまま

 

同居して4年目には

母に認知症を疑う症状が出はじめた。

幼児がいる家庭が壊される恐怖を感じた。

 

万事休すで、袋小路に入ったわたしを

助けてくれたのがIさんだった。

 

8月も終わりに近づいた日のこと。

わたしの携帯に、Iさんからの着信。

携帯に出ると、会ったことがない

Iさんの娘さんだった。

 

身構えたわたしに知らされたのは

Iさんが今朝亡くなったという訃報。

 

Iさんの家は、わたしの家から歩いて2分。

そういえば早朝、救急車のサイレンを聞いた。

 

Iさんは86歳と高齢だったけど

めちゃ元気だった、あまりに突然すぎる。

 

わたしは、動揺しながら娘さんのお話を聞いて

すぐに、母のアパートに電話をした。

 

3ヶ月前に、我が家から引っ越した母は

近くのアパートで1人暮らしを始めていた。

別居が実現したのはIさんのおかげだった。

 

訃報を告げると、母は「えええ?!」と驚き

電話の声だけで十二分に伝わってくるくらい

ショックを受けているのがわかった。

 

知らせた時間に母のアパートへ迎えに行くと

母は、何の準備もしていなかった。

わたしが「お通夜に行くよ」と言うと

母は「誰の?」と言った。

 

あれだけ驚き、ショックを受けていたのに

母はもう忘れていた。

 

もう一度Iさんが亡くなったことを伝えると

初めて聞いたかのように、母は驚いた。

わたしは、母がかわいそうになった。

 

そして、Iさんの亡き骸を見て

3度めのショックだ。

 

忘れてしまうがゆえに

大切な人が亡くなったショックを

何度も味わわなければいけないなんて。

 

わたしは、たぶん初めて

母をかわいそうだと思った。

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 出典・引用元WEBサイトがある場合は以下に表示されます: わたしにあるもんで。


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